間隔反復で英単語を忘れないようにする
復習では正解するのに、会話では出てこない。日本語話者に特有のこの状態には理由があります。単語が音ではなく、綴りと和訳の対として保存されているからです。
カタカナで覚えると、カタカナしか出てきません
多くの学習者は英単語を「upload =アップロードする」の形で記憶します。カードを見れば答えられます。ところが口から出るのは日本語の音であって英語の音ではないため、相手に通じません。
対策は復習に音を混ぜることです。カードを見たら黙読せず、声に出して答える。それだけで記憶される形が綴りから音に変わります。listen と listing、work と walk、rice と lice のように日本語では同じ音に潰れる組は、必ず音つきで復習してください。潰れた瞬間、二つの語が記憶の中で一つになります。
英単語はいつ復習すればいいのか
1885年、ヘルマン・エビングハウスが記憶に関する最初の系統的な実験を行い、忘却曲線を描きました。その測定は今も有効です。新しい情報は二十四時間で約七割が失われ、一週間で四分の三以上が消えます。
ただし曲線は固定ではありません。思い出すことに成功するたびに曲線はなだらかになり、忘れるまでの時間が延びます。要点は回数を増やすことではなく、落ちる直前に置くことです。
| 復習 | 前回からの間隔 | 起きること |
|---|---|---|
| 1回目 | 当日または翌日 | ここを外すと後がすべて無効になります |
| 2回目 | 3日後 | 再び曖昧になりますが、それが狙いです |
| 3回目 | 1週間後 | 記憶が持ち始めます |
| 4回目 | 2週間後 | 取り出しが速くなります |
| 5回目 | 1か月後 | 力を入れずに出てきます |
| 6回目 | 3か月後 | 定着、以後は最小限の維持 |
間違えると間隔は短い側に戻ります。一語が定着するまでに必要な復習は平均して五回から七回、合計しても一語あたり一分に届きません。
読み返さず、思い出す
単語帳を読み返すと、その場では全部知っているように感じます。目に馴染む感覚を、脳が「覚えた」と解釈するためです。顔は分かるのに名前が出てこない状態と同じで、試験も会話も後者しか求めません。
確かめ方は簡単です。訳を手で隠し、三秒以内に出るか見る。はじめてやると、読み返したばかりのリストの半分以上が出てきません。
カードの作り方、三つの原則
- 一枚に一つの意味。get の裏に七つの訳を並べると、一枚に見えて七枚です。どれを正解とするか決まらないので、どれも定着しません。
- 単語ではなく文で。afford 単体は残りません。I can't afford it なら残り、構文も一緒についてきます。
- 句動詞はまとめて一枚。look と after を分けると、先に前置詞が消えます。
新しい単語は一日何語まで
新規十語なら、復習を含めて一回五分ほどで収まります。この数字が横ばいのまま続くのは、短い間隔を卒業していく語の数と追加する語の数が釣り合うからです。三十語にすると二週間で復習量が三倍になり、一回二十分を超えて続かなくなります。
数日空けた場合は、最初からやり直さないでください。月曜に予定されていた語を金曜に見ても有効な復習です。遅れた日数そのものが、その記憶がどれだけ保ったかという情報になります。溜まった分は一日五十枚を上限に減らせば十分です。
覚えられない単語はどうするか
どの学習者にも、復習のたびに落ちる語が十数個たまります。回数を増やしても解決しません。原因は露出の量ではなく、引っかかりがないことだからです。
その語に自分の文脈を与えてください。見たドラマの台詞、職場で言われた一文。それでも落ちるなら一度停止して、数か月後に戻します。千語の段階で難しかった語が、三千語まで来ると周りの語彙に支えられて自然に入ることがよくあります。
これがソフトウェアを必要とする理由
六千語とは、六千本の独立したタイマーです。語ごとに日付が違い、その日付は回答のたびに変わります。紙のカードは三百枚あたりまでは回りますが、そこから先は整理そのものが仕事になります。
ソフトウェアの役割はその日程管理だけです。残りの部分、つまり頻度順という並べ方と必要な語数の目安は、何を覚えるかという選択の話です。